お墓と埋葬・納骨を考える

葬儀と火葬が終わって1年。
納骨を考える時になりました。
納骨を考えるのには時間的余裕がありますが、
考えることって多いんですよ。

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埋葬と納骨の違い

記事を書きながら、そういえば埋葬と納骨はどう違うんだろうと思いました。

調べてみると、埋葬は遺体を土に葬ることで土葬の事を指します。
一方、納骨は火葬後の遺骨を墓や納骨堂に納めることです。

現代の日本では、火葬がほとんどなので遺骨を納めることも埋葬と同義語になっています。

納骨はいつまで?

私の場合、生前、父が納骨先を決めてはいたものの、
少々遠方だったことと、やっと落ち着いたのが夏真っ盛りだったことが重なり、
高齢の母とともに納骨に出向くのもどうかと思ったので、先送りしていました。
結果的に納骨が済んだのは一周忌後です。

というのも、
法律によって「〇日以内に納骨しなくてはならない」と決められているわけでは無いからです。

 
一般的には四十九日を機にお墓に納骨する場合が多く、
百日法要を待つ場合や一周忌を期に納骨するケースもあります。

お墓の種類

一般墓

一般的に見かける「〇〇家代々の墓」に代表されるもので、
代々子孫へと引き継がれていくものです。
伝統的なタイプで、今も多く建てられているお墓です。
最近は、墓石の形も和型・洋型・デザイン型など多様化しています。

これまでは、ごく一般的な形式でしたが
核家族化、少子高齢化により、親子が別々の土地に暮らすことが多くなった上、
お墓の継承者がおらず、「墓じまい」という言葉もよく耳にするようになってきました。

納骨堂


霊園や寺院の建物内に遺骨を保管する形式のお墓で、
多くの納骨段がありその1区画を借りて故人の遺骨を納めるものです。
形としては古くからありましたが、墓地が不足している都心部では特に増えてきています。

納骨堂形式と一括りに言っても、ロッカー型、仏壇型、自動搬送型など色々な形があります。

外観上の違いはありますが、納骨堂共通の特徴があります。

継承者が必要ない

年限を区切って運用するもので、
期限が過ぎたら永代供養墓などに合祀するタイプが増えてきていますが
合祀される・されないに関わらず永代供養されます。

管理が簡便

基本的に屋内配置のため、雨風の問題、雑草が生える問題がありません。
自然災害に強いと言えます。

費用を抑えられる

一般墓に比べて1区画が小さく、
墓石なども建立する必要がないため費用を抑えることができます。

墓参しやすい

都市圏などお参りしやすい場所にも増加しており、
墓参の時間も、朝から夜までというところも増えているようです。

 
父も、納骨堂(ロッカー型)に納骨しました。
最近は、一般墓と同じ霊園に納骨堂が併設されるところも増えており
父の霊園にも一般墓と納骨堂の両方があります。
それほど交通の便が良いところではありませんが、
一般墓だけではない霊園は都心部だけではなくなりつつあります。

費用や管理の心配が無いこと以外に
地震で墓石が倒れるという心配が無く大きな安心につながっています。

永代供養墓・合祀墓


永代供養墓とは、お墓を継承・管理する人がいなくても
お寺もしくは霊園が管理・供養を行ってくれるお墓です。
お墓の形態というより、管理形態ですね。
基本的には、子孫に受け継ぐということはありません。

納骨堂は室内安置であるのに対し、永代供養墓・合祀墓は屋外に設置されていることが多く
個人墓、夫婦墓、集合墓があります。

合祀墓は、骨壺から遺骨を取り出し、他の人のご遺骨と一緒に納めるお墓です。
個人の区別が無くなるため、合祀墓に納骨した後は、個人墓に戻すことはできません。

納骨堂に納骨した場合も、三十三回忌などの期間に達すると合祀墓に移されることが一般的です。
寺院や霊園ごとに違いがありますので確認が必要です。

樹木葬


樹木葬は、新しいお墓の形で墓石の代わりに樹木や草花を墓標としたお墓です。
霊園の敷地や山麓の自然にある樹木や草花の下に遺骨を埋葬します。
個別墓と集合墓があり、埋葬形態も様々なので下調べが必要です。

宗教の別なく、継承者もいらないのが基本ですが寺院に所属する墓地もあります。

墓場といった雰囲気ではなく、公園のような雰囲気なので
お参りしやすく、注目されています。

注意点は、
生前契約の場合、永代供養でも管理費が実際に収蔵されるまで発生することがあり、
山懐にある場合が多くアクセスのしやすさに注意しておく必要があります。

手元供養

手元供養は、遺骨を自宅で管理するという方法で
すべてを自宅で保管する場合と寺院・霊園と自宅とで分骨する場合があります。
小さな仏壇形態だったり、ペンダントにしたりと色々です。

分骨に対して、故人が成仏できなくなるのではと考える方もいらっしゃるようですが、
釈迦の遺骨=舎利そのものがアジア各地の寺院に分骨されていることから
その危惧は当たらないと言えるでしょう。

散骨

散骨はまだ少数派で、手続きや方法もまちまちです。

散骨は、遺骨をさらに粉骨して粉状になったものを、
故人の思い入れのあった場所などに撒くことです。
埋めないということが、他の納骨形式と大きく異なる点です。

散骨自体を禁止する法律は存在しませんが、
刑法190条に、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」とあり、
粉骨せずに遺骨のままでは法に触れる危険があります。

すでに埋葬されている遺骨を引き取って散骨する場合には自治体への「改葬許可書」の申請が必要です。
散骨前には、砕骨と散骨予定地の条例チェックと「改葬許可書」が必要です。

個人で散骨をする場合、費用は抑えられますが
遺骨を自分で砕く必要と散骨場所も自分で探す必要があり
まだハードルが高い気もします。

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お墓の費用

お墓も形態や規模によって費用が異なってきます。
その幅もかなり大きなものとなりますので事前に把握しておくことが必要です。

一般墓の相場

新規にお墓を建立する場合、
基本的に「永代使用料」+「墓石工事費」+「管理料」が必要です。

墓石の価格には、かなり幅があります。
まず、国産と海外産で価格差があり同じ国産でも石の種類によって価格が違います。
また、墓石を選ぶ価格帯に地域差があります。
平均を取ることは非常に難しく80万円から200万円の開きがあります。

墓地も面積や所在地によって価格が大きく異なります。
やはり都内は高く、都立青山霊園は1.60㎡で永代使用料が438万円、30年分の管理費用を合計した総額は641万円となります。
ここは極端な例ですが、東京23区の相場は290万円からと言われています。

一方、都内でも西部の八王子や青梅方面には、100万円前後の墓所もあります。

東京都以外でも地域差が大きく、比較的高い県と平均的な県があります。
(福岡県は高めな印象を受けます)

同じ県内でも、利便性の良いところは高めで
もちろん面積によっても価格が違ってきます。

納骨堂の相場

納骨堂も、形式によって価格が異なります。
供養方法や種類、規模、設備などは多様で幅が広く、
費用もだいたい10~100万円と、納骨堂でも費用に差があります。

ロッカー型は比較的費用が抑えられていますが、
室内墓型のように区画が大きくなると費用も高くなります。

合祀墓の相場

合祀墓の相場は、初めから合祀墓を選択した場合で10万円から30万円です。
納骨堂などで個別埋葬を終えた後合祀される場合は、
あらかじめ納骨堂の費用に含まれており30万円から200万円程度です。

樹木葬の相場

最近増えてきた樹木葬にも、個別型から合祀型まであります。
個別型で20万円~80万円、合祀型で5万円から20万円が相場となっています。

まだ新しい埋葬形態なので、埋葬のしかたにも違いがあり費用にも差があります。
内容と費用の双方を比較検討する必要があります。

散骨の相場

散骨の相場は、単独での散骨が20~30万円、合同散骨が10万円前後、委託散骨が5万円前後です。

墓石や土地が必要なく、管理費も発生しないので最も費用を抑えることができます。

核家族化とお墓

いかがですか?一口に埋葬・納骨と言ってもこれだけの種類があります。

中でも近年目立つようになったのが納骨堂、樹木葬と永代供養~合祀墓です。

理由として考えられるのが高齢化や核家族化、少子化です。
核家族化で親子が離れて暮らすようになると
墓参が困難になるため、どこに埋葬するのかを考える必要が出てきます。

また、少子化により相続する人物がいなくなった場合どう対処するのかという点です。
無縁仏という言葉がありますが、誰も管理する人がいなくなってしまった上
どうかすると、寺院そのものが廃寺になってしまう場合すらあります。

長い目で見ると、参拝しにくい距離ではなくても
自身の高齢化で足が遠のくことも考えておかなくてはなりません。

 
共通点として考える必要があるのが、永代供養と合祀です。
全く誰にも参拝してもらえなくなるのは気が引けるけれども
一般墓を建ててしまうと管理の問題を考えなければならなくなります。

 
最近では、「稀(まれ)」とも言いにくくなったのが自然災害です。
地震で墓石が倒れたり、水害で墓地が流されてしまった映像を見ると
あの後、お墓はどうしたんだろうと考えてしまいます。

お墓と埋葬・納骨の費用も下調べが必要

お墓の種類が同じでも、規模によって価格が異なります。
また、公営霊園・民営霊園・寺院墓地によっても異なります。

さらに、立地条件やサービス内容など
調べなければわからないことが非常に多いので
ご自分の条件に合ったお墓選びをするために
資料を集めるのは重要なことだと思います。

 
父は、生前に新聞広告や資料取り寄せなどで
新たにできた霊園に決めたのですが、
実際に現地に出向いて話を聞いたりしたそうです。

父が亡くなった後も、その資料が保管されていたので
何も困ることはありませんでした。

 
漠然とした背景しかわからないまま現地に行ったり
果ては決めてしまう前に資料をくまなく読んでおくことが重要です。

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